コンピューターが当たり前のように生活に溶け込んでいる今、プログラマーはますます私たちにとっての身近な職業の選択肢の一つになりました。
この記事では、プログラマーとは何かを説明した上で、システムエンジニアとの違い、仕事内容や将来性、やりがい、厳しさなど幅広くご紹介していきます。
プログラマー(PG)とは?
「プログラマー」とは、コンピューターを動かす「プログラム言語」を用いてさまざまなシステムやソフトウェアを作るための「プログラミング」を行う仕事です。
物流システムや金融システムといった企業が使用するシステムのほか、テレビやスマートフォン、Youtubeやゲームなどのスマホアプリ、電子レンジなど、身のまわりのあらゆる場所でプログラムが活用されています。
プログラマーとシステムエンジニアの違い
プログラマーとシステムエンジニアの違いについて明確な定義はありませんが、一般的にはプログラマーがプログラムの設計やコーディング、テストやデバッグといった下流工程を担う職種なのに対して、システムエンジニアがシステム全体の要件定義や設計、構築、管理といった上流工程を担う職種だとされています。
プログラマーの仕事内容
フロントエンドエンジニア
WebアプリケーションやWebサイトのユーザーインターフェース(UI)の設計と開発を専門とするプログラマーはフロントエンドエンジニアと呼ばれます。
HTMLやCSSを使ってUIを整え、JavaScriptなどのプログラミング言語を駆使してWebサイトの動きやサーバーと連携する仕組みなどを実装します。
バックエンドエンジニア
アプリケーションにおけるサーバー側の仕組みの設計や開発を専門とするプログラマーはバックエンドエンジニアと呼ばれます。
クライアントが行う業務プロセスの実装や、データの処理、ほかのシステムとの協調動作の実現など、アプリケーションの本体ともいえる部分を作るのが主な仕事です。データベースの設計や、サーバーの設定、セキュリティの仕組みの構築などの役割を担うこともあります。
ゲームプログラマー
ゲームエンジンの開発、ゲームロジックの実装、コンピュータグラフィックスの実装、物理演算エンジン(物理法則をシミュレーションするソフトウェア)の開発など、ゲーム開発に関わるさまざまな仕組みの構築を担当します。ゲーム開発は、プログラマーの中でも特に専門的なスキルやノウハウが求められる分野です。
組み込みエンジニア
家電製品や工業製品などに組み込まれている電子機器に関わるシステムのことを組み込みシステムといい、その設計や開発に特化したプログラマーは組み込みエンジニアと呼ばれます。
電子機器の制御システムや、IoTデバイスの開発などを担当します。電気回路や電子回路、各種制御機器やセンサーなど、ハードウェアに関する知識が必要であり、上に挙げたようなソフトウェアシステムとは一線を画する分野です。
プログラマーの平均年収はいくら?
プログラマーはITシステム・ソフトウェア開発の中心的役割を担う存在であり、その重要性から比較的高い年収を期待できます。dodaの「平均年収ランキング(2023年版)」では、「SE/プログラマ」の平均年収は422万円と、全体の平均年収である414万円を上回っています。
プログラマーのやりがいや厳しさ
自らが手がけたシステムが多くの人たちの役に立つこと
紆余曲折ありながらも完成までこぎ着けたシステムが多くの人たちの利便性を向上させたり、安心・安全に貢献することは、プログラマーとしてのやりがいとモチベーションにつながります。
自分らしい働き方ができる
IT技術の進化にともないエンジニアを含めプログラマーの需要が高まっていることも、プログラマーにとっては好都合です。キャリアの選択肢が広がり、実力に見合った報酬が得られたり、やりたかった仕事にチャレンジできたりと、自分らしい働き方を実現しやすくなります。
納期に追われる
納期に追われることによる緊張感やプレッシャーです。プログラマーの仕事は自分たちの領域だけで完成するものではなく、前後に多くの人たちがかかわっています。そのため、プロジェクトの期日や納期は厳守しなければなりません。プログラマーの仕事が純粋に好きだと思える人や、何らかの目標を持って取り組める人でなければ、長期的に働くことは難しいかもしれません。
プログラマーにおすすめの資格
プログラミング言語系の資格ではありませんが、技術者として働いていく上で最初に取得しておきたいのが「ITパスポート」です。経済産業省が認定する国家資格で、IT関連の知識はもちろんのこと、企業活動、経営戦略、会計、法務など、エンジニアとして知っておくべき関連知識も試験範囲となっています。特に情報セキュリティや情報モラルなどは、最低限知っておくべき内容でしょう。
Oracle社が実施している試験で、プログラミング言語「Java」の資格試験としては最も有名な資格です。試験は難度によって区分けされており、ブロンズ、シルバー、ゴールドの順で難しくなっています。ブロンズとシルバーは誰でも受験できますが、ゴールドだけは、シルバーの資格を取得していなければ受けることができません。
「サーティファイ」というビジネスの能力認定会社が行っている試験です。プログラミング言語である「C言語」を使ってプログラムを作成する能力を認定します。特に1級は、システムの仕様変更に対して、コーディング、デバッグなどを行って、プログラムを完成させる力を測るため、IT業界で高い評価を持つ資格となっています。
プログラミング言語「Ruby」の普及・発展のために活動している「Rubyアソシエーション」が実施する認定試験です。Rubyベースで開発を行う際に、必要な知識を持っていることを証明してくれます。認定者はRuby技術者として評価され、高い水準のシステム開発能力があることが証明されます。
将来性
今後の日本においてはプログラマーの需要がますます高まり、活躍の幅が広がると予想されています。2019年4月に経済産業省が公表した試算によると、2030年にはIT人材の不足が顕著となり、需要と供給のギャップが最大約45万人に上るとのことです。
このような状況を踏まえ、国では供給数の積極的な底上げを図っています。取り組みの一環として、2020年より小学校で、2021年からは中学校で、プログラミング教育が導入されました。しかし、少子化が加速する状況を踏まえると、未来の新卒者だけでIT人材不足を解消できる訳ではないでしょう。
こうしたことから、転職市場においても引き続きプログラマーの需要は高い水準を推移すると見込まれています。
未経験でプログラマーになるにはどうしたらいい?
プログラミングのスキル
プログラマーになるには、少なくとも1つ以上のプログラミング言語を使いこなせる必要があります。プログラミングのスキルを身につけるには、まず学習の対象とするプログラミング言語を決めた上で、基本的な文法や実行の方法、開発ツールの使い方などを学びます。
その上で、学んだ内容を活用して実際に動作するソフトウェアを作ってみることが大切です。あとは、作ったソフトウェアのバグを修正したり、機能を追加したりしながら、いろいろな実装の方法に挑戦してみましょう。
アルゴリズムとデータ構造に関する知識
プログラムにおいて、特定の問題を解決するための処理手順や計算方法のことを「アルゴリズム」と呼びます。また、プログラムで扱うデータの格納や管理、操作に使用する方法や形式のことを「データ構造」と呼びます。
例えば社員名簿のような情報を扱う場合、それをプログラム内でどのような形式で保持したり、どのようにして並べ替えたりして、条件にマッチした社員の情報を探し出せばいいのでしょうか。このようなときの、その実装のヒントになるのがアルゴリズムとデータ構造です。
プログラマーにとって、アルゴリズムとデータ構造について理解することは、効率的なプログラムを設計するために不可欠です。プログラミング言語と並んで、基本的なアルゴリズムとデータ構造についても学習しましょう。
まとめ
プログラマーは最新の技術を駆使してさまざまなシステムの開発に貢献できる刺激的な仕事であり、極めて将来性が高いというメリットもあります。その一方で、常に新しいスキルの習得に挑み、自己研鑽を続けなければならないという厳しさもあります。
プログラマーとして成功するためには、この仕事の特性を理解した上で、ある程度の長期的な視野でキャリアを築き上げていくことが望ましいでしょう。
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