業界研究は就職活動の中で重要な要素のひとつです。業界について理解が深まると、その中で自分に合った業界がどこか考えられるようになります。「志望している職種はどのような業界に多いのか?」、「学校で学んだことが活かせるところはどこか?」などお悩みの方は業界への理解を深めましょう。ここでは、業界分類とその概要を解説します。
「業界」とは?
「業界」とは企業を事業内容によってカテゴライズし、表しているものです。扱う商品・サービスや、利益を得る方法によって企業をグルーピングし、ひとまとまりにしたものを指します。
就職活動において、自分が興味のある業界を明確にしておくことで、企業を探しやすくなります。
「業種」との違い
「業種」では取り扱っているサービスを基にして企業を分類します。例えば、メーカーという「業界」を「業種」で整理すると、自動車、家電、薬品などが挙げられます。
つまり、「業界」をもう一段細かく分類し、具体的にどんなサービスを取り扱っているのかを示すのが「業種」です。
「職種」との違い
「業界」「業種」が取り扱い商品や利益を得る方法によって企業をグルーピングしたものに対し、「職種」は企業内の担当役割のことを指します。例えば、営業、人事、エンジニアなど、担当役割を大まかに分類したものが挙げられます。
「職種」は、入社後あなたが実際に行う業務の内容になるので、進みたい業界・業種と合わせて、どの職種でキャリアを積んでいきたいのかもセットで考えるようにしましょう。
主な業界一覧と特徴
メーカー
メーカーとは原材料などを加工することで製品を開発・生産し、提供する業界です。主に自動車や家電など長年使用する製品を開発・製造する「耐久消費財メーカー」、食品や医薬品など日常生活で使用する商品を開発・製造する「生活用品メーカー」、鉄鋼や繊維、自動車・電子部品、半導体などの素材を開発・製造する「原料・部品メーカー」、OA機器や医療機器、プラント設備などを開発・製造する「機器・機械メーカー」などのさまざまなメーカーが存在します。
商社
商社は輸出入貿易でメーカーから仕入れた商品を小売店などに販売し、その仲介料で収益を上げます。主にあらゆる分野の商品やサービスを取り扱う「総合商社」、特定の分野の商材を取り扱う「専門商社」があります。
IT
IT業界とは、「Information Technology」の略語でインターネットを用いた情報産業を手掛ける分野を担っています。
パソコン・スマートフォンなど私たちの生活に深く根ざしているものや、AI・クラウドサービスといったものがIT業界のビジネスに含まれています。どの業界においても、ITを用いていない企業はほとんど存在しないため、基幹産業といってもいいでしょう。
国内外の最先端技術をどうやってビジネスや日常生活の利便性向上に活かすか、といったテクノロジーへの興味と日々の情報収集が非常に重要な業界です。
小売・流通
小売・流通業界とは、メーカー業界の企業が生産した製品を仕入れ、一般消費者に購入の場を提供する分野を担います。
小売業界の代表的な例としては百貨店、スーパーマーケット、家電量販店など、流通業界は郵便・宅配のような運輸業、製品を集約し保管・整理する倉庫業などが挙げられます。
メーカーから仕入れた製品に販売価格として手数料を上乗せした分が小売業界の企業の主な収益源となり、販売網の広さ・販売力の高さでビジネスを行っているケースがほとんどです。流通業は運送費や倉庫の利用費などが主な収益源になります。
景気の影響を受けやすく、訪日外国人客数などの指標も重要といった点が特徴的です。また、インターネット上で買い物を済ませる消費者も増えていることから、オンライン・オフライン両方を活用した事業運営が今後も求められるでしょう。
店舗での販売や店長として店舗運営を取り仕切るなど、ほかの業界ではあまり見られない働き方がある点は大きな特徴だといえます。
サービス・インフラ
サービス・インフラ業界は、一括りにされるケースが多いですがサービス・インフラそれぞれで事業内容が大きく異なります。
サービス業は、外食、旅行、ホテル、福祉など消費者を相手にビジネスを手掛けることが多く、BtoC企業が多く含まれます。消費者が潜在的に求めていることは何かを精度高く察知し、サービスに反映させるといった情報収集力・分析力を基にマーケティングに注力する企業が多い点が特徴です。
インフラ業界は、電力・ガスなどのエネルギーや、鉄道・航空といった移動手段を提供しているため生活するうえで必須といえるサービスを提供する企業が含まれます。昨今は再生可能エネルギーの活用をテーマに持続可能なビジネスモデルを模索しており、消費者へのサービスの質を担保しながら事業を見直す動きが多く見られます。
コミュニケーションが好きな人、責任感を持ってやり遂げる人が適している業界だといえるでしょう。
金融
金融は、さまざまな業界と密接な関わりを持ちながら経済を支える業界です。主に預金の取り扱い、資金の貸し出しなどの融資を行う「銀行」、株券売買や新株発行のサポート、企業買収・合併の仲介などを行う「証券」、生命保険や損保保険などで個人・企業の保険料などを運用する「保険」などがあります。
広告・マスコミ
広告・マスコミ業界は、テレビ・ラジオ・新聞・インターネットなどさまざまなメディアを通じて情報を発信する分野を担っています。
広告業界の企業は、サービスを適切な手段でアピールし売上や認知度を高めるビジネスです。従来はテレビ・ラジオ・新聞が主なチャネルでしたが、最近はデジタルマーケティングと呼ばれるインターネットを活用したプロモーション方法が多く見られます。消費者へ適切に訴求するには、ターゲティングや適切な広告運用方法など、さまざまな専門知識が必要なため、依頼主の企業に代わって宣伝を行います。
マスコミ業界の企業は、例えばテレビの場合、高い視聴率が期待できる番組コンテンツを作り、その合間にコマーシャルとして企業の宣伝を行うことで、企業から宣伝費を預かるビジネスで成り立っているため、企業と個人の接点を創出しているといえるでしょう。
昨今はスマートフォンの普及によりインターネットの利用者・利用時間が増えているため、消費者の情報収集手段が多様化しています。そのため、従来のビジネスモデルに依存せず、適切な発信方法を柔軟に取り入れている企業が多く見受けられます。
記者、編集者、ディレクター、アナウンサーなど、業界特有の働き方がある点が特徴的です。流行りに敏感であったり、情報を適切に相手に伝えるための工夫ができる人は向いているでしょう。
官公庁・公社・団体
公社・団体は地方公共団体や学校、病院など社会の中で民間ではできない公的な事業を行う団体です。官公庁は、国と地方公共団体の役所を指し、中央省庁や裁判所、国会、日本銀行などを含みます。
業界研究で押さえておきたい3つのポイント
業界の全体像を捉える
世の中にある企業は多種多様なビジネスモデルや分類から成り立っています。そのため、大きな分類である業界を知ることで社会の構成図を理解することができ、さまざまな業界を知ることで企業を選ぶ上での視野が広がります。
業界ごとの特徴を理解する
業界が取り扱う商品やサービス、顧客の形態である「BtoBサービス(企業にサービスを提供)」や「BtoCサービス(個人にサービスを提供)」などの分類を知ることは業界を理解する上で欠かせません。面接では業界の特徴や扱うサービスの形態なども質問されるケースもあるため、しっかりと研究を行いましょう。
業界の成長性・安定性を知る
業界の成長性を知ることは、将来のキャリア形成にも大きな影響を与える場合もあります。衰退している業界では長期的働けるか不安という方もいらっしゃいます。成長性や安定性があるなどを自分のキャリアプランと照らし合わせて選択することが大切です。一般的に誕生して間もない業界ほど成長性があり、業界の売上高が高いほど安定性がある傾向にあります。
就活の業界研究のやり方は?
本や新聞、ニュースを見る
新聞やニュースを通じて、「今、自分の興味のある業界では何が起こっているのか」を知ることは大切です。「なぜそれが発生しているのか」「どうすればその問題は解決できるのか」という幅広い視野で見てみると、就活に活かすことができるでしょう。
また、業界マップのような本も出版されているため、こちらも参考にするといいでしょう。広く情報収集を行い、自分が興味を持つ業界、強みを生かせそうな仕事はどのようなものがあるかを調査してみてください。
業界団体のホームページを見る
現状どのような取り組みを行っているのか、今後何をしていくのかなど、業界全体の情報が掲載されています。
今後の可能性、向き合う課題の内容などに注目し、自分にとってやりがいを感じられそうかという視点でチェックしてみるといいでしょう。
業界研究セミナーに参加する
大学や合同説明会形式で開催される業界研究セミナーに参加し、現場で働いている社員の生の声を聞くことが可能です。
自分一人で集められる情報には限りがあります。さまざまな視点を取り入れることで視界が広がり、挑戦してみたいと思える業界が見つかるかもしれません。機会を見つけて、積極的に参加してみましょう。
まとめ
この記事では、業界の基礎知識から就活で知っておくべき業界の一覧、業界研究のやり方について解説しました。興味のある業界は見つかりましたか?
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