企業のグローバル化が進むにつれ、社員に高い英語力を求められることがほとんどとなりました。
近年では、社内の公用語を英語に変える企業もあるほどです。語力がなければ応募資格がない企業もあり、それを知らずに就活を進めると、最悪の場合受ける企業を変更しなければなりません。
日常業務において、世界各国出身の同僚・顧客とのコミュニケーションは必要不可欠ですし、社内外での意識・能力向上のためにも、今後より一層高い語学力を求められることになるでしょう。
英語の使用比率は、日系企業よりも外資系企業の方が上回っているものの、グローバルな視点での就活を行うならば、日系・外資関係なく、文書作成・電話対応・日常会話・会議などの場面でそつなく業務をこなせる程度の英語力は必須です。
英語力をつけると就活の選択肢が格段に広がる
英語力があると、それだけ受ける企業や職種の選択肢が広がります。入社後の好待遇も見込めるかもしれません。さらに、同じ企業を受けるほかの学生と差別化することもできます。つまり、就活において英語は強力な武器になるのです。
就活で英語力は必要? 実態を徹底解説
英語力は就活において武器になると説明しましたが、必ずしもすべてのケースに当てはまるわけではありません。
場合によっては、英語を勉強しても選考に活かせないということもあります。就活における英語の位置づけを正しく理解して、心構えをしましょう。
一部の企業では英語力を採用条件としているところがある
就職みらい研究所の就職白書2024によると、選考基準として語学力を重視する企業は約12%にとどまっています。現時点では、採用活動で英語力を重視している企業は少ないのです。
理由としては、多くの企業では、業務で英語を使うケースは限られているためだと考えられます。もしくは業務で英語を使うとしても、入社までに力をつけられれば問題ないと判断している場合もあります。
しかし、裏を返すと1割程度の企業は英語力を重視しているということです。語学力を入社時の最低条件として設定している企業もあります。
必須ではないもののプラスの評価になる企業も多い
たとえ英語力がなくてもマイナス評価にはならないものの、あるとプラス評価になる企業もあります。「グローバルに活躍できそう」「何かを身に付ける努力ができるのだな」などと評価をされるケースです。
今後は英語力を重視する企業が増える見込み
現状は英語力を重視する企業は少ないですが、今後は増える見込みです。国際ビジネスコミュニケーション協会の英語活用実態調査2019(企業・団体)によると、今後、人材採用時などに英語力を求める企業は、2割弱から4割弱に増える見込みとされています。
これは新卒採用に限った数値ではないものの、今後も英語力を重視する企業は増えることが予測されるため、就活時には英語力をつけておくと安心です。
努力ができることの証明にもなる
英語力・語学力はそう簡単に向上することはほとんどありません。そのため当然ですが、英語試験においても希望するスコアを取得するには時間と努力が必要になります。過去問を分析して出題傾向を掴み、自分の得意・苦手を把握して対策を立て、継続的に努力を続けることでようやく、希望するスコアに近づいてくるというわけです。つまり、英語試験で高いスコアや級を取得できているという事実は、継続して努力ができることの証明にもつながるでしょう。
また、面接時には「学生時代に力を入れたこと」を聞かれることがありますが、その回答として「英語の勉強」を挙げやすくなります。特に、高いスコアや級を取れていれば、努力を結果に結び付けられることのアピールともなります。
どのくらいのスコアを取得したら履歴書に書ける?
TOEICのスコアを何点以上取得できたら履歴書に書くことができるのか……このことに関しては明確な決まりはありません。
TOEIC® L&R TESTのスコア平均はおおよそ600点以上となります。希望する職業などにもよるかと思いますが、記載するのであれば平均点は超えていたいところでしょう。
- 海外投資部門などの海外企業と取引する職:600点程度~
- 英語教師(小学校・中学校・高校):785点程度~
- 英語の教材や新聞などを取り扱う企業:800点程度~
- 通訳:900点程度~
英語力・語学力が活かせる職業とは?
英語力・語学力を使う仕事かどうかは、企業や職種によっても異なりますが、英語を使う可能性の高い職業としては以下のものがあります。
- 商社
- 物流(海上運輸や航空運輸)
- ホテルスタッフ
- ツアーコンダクター(旅行添乗員)
- キャビンアテンダント(客室乗務員)
- 翻訳・通訳
- 英語講師
- エンジニア
- 外資系金融企業
英語がプラス評価になりやすいケース
①海外展開をしている業界を受ける
昨今はグローバル化が推進されていますが、特に以下の業界はその傾向にあります。海外の取引先や子会社の社員とやりとりしたり、海外の顧客を相手に営業したりといった仕事内容があります。国内にいてそのような仕事をすることもあれば、海外に異動になることもあります。
②業務上英語を使う機会がある職種を受ける
常に英語を使用するわけではないものの、英語を使用する機会がある職種も、英語力があればプラス評価になりやすいです。たとえば、海外の企業や顧客とやりとりがあったり、使用する言語に一部英語があったりするものです。グローバル化を推進している企業の職種や、海外からの顧客をターゲットにしているサービス業などの職種は、業務上英語が必要となる場合も対応できるという期待につながります。
就活で英語力をアピールするうえで注意すべき3つのこと
英語力はただアピールすれば良いのではなく、アピールする上で注意しなければならないこともあります。その内容を頭に入れておかないと、あなたの実力を十分に伝えられなかったり、かえってマイナス評価につながってしまうこともあります。
①英語力以外の強みも用意しておこう
英語そのものを取り扱う職業以外は、英語はコミュニケーションのための手段となります。そのため、英語力があったとしても、それを活用して何ができるのかを示さなければアピールにならないことがあります。
特に英語力を採用条件としている企業は、当然ですが英語ができることが前提となっており、スコアを取っていたとしてもアピールにはなりません。
また、履歴書に資格のスコアを書けば十分英語力の十分アピールになるため、面接などであえて英語力をアピールするのはもったいないといえます。英語力のみではなくほかの強みも見つけておきましょう。
②企業の求める人物像に該当するか確認しておこう
企業が英語を使える人材を求めていなければ、英語力をアピールしても響かないことが多いです。
たとえば現在も将来も国内事業に専念する企業や、海外の顧客を想定していない企業の場合は、英語を使える人材を特別求めているわけではないので、英語力の高さはアピールになりにくいといえます。
履歴書に英語の資格のスコアを書いたりするのは問題ありませんが、ESや面接では英語力を身に付けたことを長々とアピールするのではなく、企業が求める人材に関連する強みなどを伝えるよう意識しましょう。
③書類選考が始まる前に結果が出る資格を受けよう
英語力を証明するためには、資格を取得することが効果的ですが、履歴書にスコアを書けなければ意味がないので、履歴書提出日までに結果が出る資格を取得しましょう。
たとえばTOEICは、結果が出るまでに約1か月かかります。就活のエントリー開始は、一般的に大学4年生の3月からです。そのためTOEICのスコアを使うのであれば、2月末に結果が出る1月の試験を受けておく必要があります。
まとめ
一部の企業では英語力が採用条件として求められていたり、また英語力があることでプラスアルファの評価をされることがあります。
また、英語力があると採用時にメリットがあるだけでなく、入社後もより裁量のある仕事を任せてもらえたり、それにともない収入が上がったりするなど、より良いキャリアを築けるケースが多いです。
もしまだ就活までに余裕がある人は、ぜひ英語力をアップして備えましょう。就活中の人は、アピールする方法や英語を使わない道も頭に入れつつ自分に合ったキャリアを選択してくださいね。
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